樹木にどんな印象を持たれているでしょうか。落ち葉や管理がまず先に頭に浮かび、あまり良いイメージではない方もいらっしゃるかもしれません。でも、樹木や緑が無い場所でずっと暮らすという事を想像すると、それも耐えられない気がします。以前の記事でも書きましたが、緑があるという事は遺伝子レベルで人を安心させる力を感じます。
樹木は庭づくりにおいて重要な部分なのに、洋服のように普段買うものではないので、選ぶ基準もわかりにくいですよね。今回は樹木選びのお話です。
a)植える目的を整理してみよう
木を植える目的とは具体的に例を挙げると、観賞目的の他、目隠し、防風、建物や環境との調和、夏の日差しを和らげる、日陰をつくる調整などあると思います。目隠しの木は常緑樹(じょうりょくじゅ)の方が冬も緑で効果的です。木陰を作るなら大きくなる木や横にも枝を張る木が効果的です。落とし穴としては、ヒアリングをすると多くの方はずっと緑のお得感から、常緑樹が好みです。でも、下の写真のように、涼しげでさわやかな緑は観賞価値が高く、常緑は冬の寒さに耐える厚い濃い葉が多いので、リビングからの見た目には落葉樹(らくようじゅ)を植えたいところです。実際には落葉7:常緑3くらいのバランスで、要所に常緑という選び方がお勧めです。
b)植え場所の環境を知ろう
木にも自生地があり、環境の得手不得手があります。植えたい場所が北側なら日陰に適した木を選び、日あたりには陽樹を選びます。また、風当たりが強い場所には風に弱いミモザアカシアのような木は不向きです。そこがどんな環境か知る事で、選ばない方が良い木が見えてきます。また、細かい話をすると、樹形を選ぶ際にどこに植える木を選ぶかしっかりイメージすることはとても重要です。例えば、壁の前に植える木は葉が180度当たったような半分オモテみたいな同じ育ち方をした木を選ぶと最初からしっくりと馴染みます。あと、一歩踏み込めば、既存の環境に雰囲気、テイストに合う木を選ぶ必要もあると思います。極端な話としてはフレンチテイストにツゲの玉散らしは似合わないです。
c)どこで買うか
樹木は住んでいる地域によって、買う場所が難しい地域もあると思います。地域によっては植木センターのような場所があったり、ホームセンターに植木屋が入っているところもあります。植木屋の入っていないホームセンターでは、花市場に出るような若木苗がメインとなってくるので、安価というメリットはありますが、樹種が選べなかったり、自分で形を作っていかなければいけないというデメリットもあります。若木苗を選んだ場合は、植える位置に注意してください。葉張りが3mを想定したら、幹を壁から1.5~2mほど離した場所に植える必要があります。最初の苗のイメージで壁いっぱいに植えてしまいがちなので、注意が必要です。(この失敗はすごく多いです)また、今はヤフーオークションなどのサイトでも買えます。周りに買う場所がない方は一度覗いてみても良いかもしれません。後は、私たちのような造園、庭づくりを行っている会社へご相談ください。環境に合わせた樹木選びから、実際に生産者へ選びに行って仕入れ、植え付けまでを行えます。DIYでお庭をつくるにしても、樹木はできれば業者に任せた方が良い部分だと感じています。
d) おすすめの樹種
幹の模様も趣があって、自然な風合いの木。この木だけではないですが、雑木など自然な木を植えたら剪定は「風情を残す」事をイメージして行ってください。具体的に言うと外からぐっと切り詰めるのではなく、中の日が当たらなくなった葉、混んだ枝などを透かして行くイメージで切ります。
6月に実がつくから「ジューンベリー」。日本のザイフリボクと、アメリカのザイフリボクがあり、品種によって樹形も少し違います。
寒すぎると嫌がりますが、埼玉あたりならだいたい平気。目隠しにも良いですね。あと、モミジ・カエデ類は京都の紅葉のイメージで和庭の木というイメージも強いですが、自然樹形ならそんなに意識しなくても良いと思います。樹種よりも、松の門被りや玉散らしといった仕立て方の方が和っぽいイメージが出やすいのかもしれません。また、若干ですが、ヤマボウシやシャラは市場原理で同じような木でも少し安価に仕入れられる事が今は多いです。雑木類など幅広く考えておいて、見に行った際に「樹種」<「樹形」で選ぶ柔軟な考えも良い木をコストパフォーマンス高く選ぶポイントになります。
整理すると、「植える目的」「植え場所」「将来の理想樹形・樹高」ここを考えておいて、植木の産地などを回ってみてください。もしくは、庭づくり、造園屋にご相談下さい。そして、将来を想像して植える位置を考え、しっかりと水で締めて植えつけてください。ほりあげに適した時期はおおむね、落葉が冬の休眠期、常緑が春先です。植え付けは根を痛めなければそんなに時期は問いません。根を痛めなければというのは、コンテナに植わっているものを地におろすとか、仮植してある木を定植するという意味です。危険なのは、真夏に根を切って移植するとかの事で、これはお勧めできません。
アトリエ朴では樹木一本の植え付けから行っています。お気軽にご相談ください。
ご自身で行われる場合にはDIY庭づくりの方法をもっと詳しくまとめたコチラの本をぜひ参考にしてみてください。