山採り樹木

人工的な秩序と野趣のコントラストを狙った庭

ホームセンターの観葉植物コーナーを見ると、まるで型にはめて作ったかのようなパキラやユッカを見かけます。もちろんこれも立派な命ある植物で、愛すべき存在なのだけれども、それぞれ生育環境が違えば生まれるはずの“個性”が無い事がもったいなくも感じます。こういった形の揃った観葉植物達と正反対のような個性バリバリが“山採りの樹木”です。

例えば、芽を出した時から隣にある樹木を避けながらうまく光合成できるように枝を伸ばしてきたり。例えば密度で下枝が蒸れて上がってきたり。一人一人違う条件に対応して生きてきた証が樹形となっています。植える場所で昔からそこで育ってきたかのような樹形選びや組合せができれば、林の中に家を建てたように過ごせるかもしれません。

ほとんどの場合、日当たり抜群、水も充分といった環境では育ってきていないので、繊細な柔らかな枝や幹の子が多い事も特徴です。これが女性的な美しさにもつながるし、太い木の多い、日の当たる場所というよりも、緑陰の山中にいるような気持にさせてくれる理由なのかなと思います。

今回はペイビング等の秩序に対して、石や樹の持つ野趣のコントラストを狙ったプランとなっています。