3月22日の利休梅

エレガントな利休梅

利休梅という樹木をご存じでしょうか。まず、名前の先入観を取り除いて写真をご覧ください。特に、“梅”の印象を取り除いてご覧ください。白と緑は鉄板の相性です。秋に植えさせていただいた木ですが、施主様も品があって好きとおっしゃってくれています。こんなに素敵な花木なのに植えられている数が年々少なくなっているように思います。その理由はきっと名前にあると思います。利休梅=梅、そして和風と思いますよね。ギョリュウバイもそうですが、まるで違う科、属なのに良く梅に似た花を咲かせる事で最後に“梅”とつくことが多々あります。(もちろん梅にも色々魅力あります)そしてこれもバラ科ヤナギザクラ属。良くインターネットの説明では晩春~初夏に花が咲くとありますが、私の体感では関東では例年4月です。今年はさらに早いですね。

ホソバアオキ

今日様子を伺って、やっぱりいいなあ・・・と思ったのはこの“ホソバアオキ”です。ほとんど管理のいらないたまに軽く透かして剪定するくらいの楽な子で、本当に細葉がスタイリッシュ。そして常緑。地味だけど活躍しますね。

この3連休は打ち合わせとか以外は事務仕事の時間多かったので、なんと3日連続ブログを書きました。って思ったら4日連続だった。。。これはもう一度雪が降るかもしれません。

ツリージャーマンダー

北川さんとコラボ現場。植物が本気出してくれるのは2年後かな・・

三寒四温とは良く言ったもので、まさにそんな感じ。三寒四温って、“ん”が小刻みに入るから素敵。ブランド名でもありましたっけ?名前と言えば、今日植えた“ツリージャーマンダー”。これも格好良い名前。ジャーマンの方が原産でツリーになるのだったらこっちで呼び名を考える際に、ジャーマンダーツリーと言いそうなのに、ツリージャーマンダーにしたのは単純に響きとしてセンスある。でもこの子は葉張り、高さもジャマダーってなるくらい大きくなります。(歳とったな私)ちなみに常緑低木で、どんなふうに剪定してもすぐに枝が伸びてフォローしてくれるからふらっとハサミ持って外に出て無心で切り戻すのがお勧め。萌芽力が強いんですね。逆に、写真の左手のアオダモは樹皮が硬く、胴吹きが出にくいので、下枝落とすときは慎重に。硬くなった幹からは新たな芽吹きはあまり期待しない方が良いタイプ。萌芽力が弱いと言うのです。

この現場はノルウェーカエデのプリンストンゴールドがシンボルなので、大きくなったらレンガと良い関係を作ってくれるはず。そしてそのころは上から垂らした這性のローズマリーも良い感じに育っているはず。二年後が楽しみです。

クリスマスローズ展みたいな演出

午後からは、皆で著名なN市のS様のお宅へ。さりげなくクリスマスローズがバードバスの中に飾ってあって素敵だし、お庭の植物たちの芽吹きが見ていて超テンションあがります。「コロナであまり外に出られなくてお庭にずっといるの、超幸せ」みたいにおっしゃっていて、うちのみんなも思わず笑顔。S様のまわりの方々もこの楽しさを知ってどんどん笑顔になっていくようで、こうゆう笑顔のガーデンウイルスこそどんどん世界中に感染していってほしいですね。

麗しの千両万両

奇麗な斑入りの万両

千両や万両に皆様はどんな印象をお持ちでしょうか? 名前からして“和”の世界、古風な植物のイメージもありますよね。千両と万両は寒さに少しだけ弱いので、常緑樹の下とかの方が良いとは思いますが、管理がとても楽な植物です。そして、それでいて、千両も万両も常緑低木です。写真の万両は斑の入り方がとても美しい。曙斑のようなものから覆輪のようなもの、砂子斑のようなものまでバリエーションがあります。個体や品種を選ぶと面白い植物です。

紅孔雀

この万両は、かなりの傾奇者です。名を「紅孔雀」と言います。これもやはり斑の入り方が相当面白い。斑には、黄色斑、白斑、赤斑とありますが、明らかに「赤」ここまで赤い斑も珍しいと思います。

斑入り千両

これは斑入り千両。ちなみに一両は蟻通し、百両はカラタチバナです。千両の斑は黄色斑が多いみたい。前に白斑も見たことあった気がする。

斑入りヤブコウジ

そして、一番お勧めなのが、この十両。斑入りヤブコウジです。千両、万両より寒さにも強く斑の入り方、葉の展開の仕方といいまさにエレガントです。ここまで乗せてきた千両や万両、十両はどれも変わり種ではありますが、名前に先入観をもたずに、洋風のお庭でもぜひ使っていただきたい植物です。なんせ管理が楽ですし、日陰にも耐えて、暗い場所を斑で明るく魅せてくれます。

現場の様子

現在進めているガーデンもだいぶ形が見えてきました。庭で楽しく過ごすための居場所を作っている様子です。居場所と言えば、来年からガーデン&ガーデンさんでまたコラムを書かせていただく事となりました。中身としては庭で楽しく過ごす方法に特化した中身にする予定です。お庭を考えるという仕事をさせていただいてきましたが、現代の都市部~国道16号辺りの庭で楽しく過ごすために必要な事は、「プライバシー」「居場所」「素敵な植物」の3点が必須と考えています。自分でお庭をデザインする場合でも、この3つを意識しながら考えると作った後にも庭で楽しく過ごす事ができると思います。このあたりを具体的にしっかり書いていきたいと思っています。

真夏の植樹

屋根にかかるアオダモ

教えている専門学校の生徒達にも、落葉樹の移植適期は休眠期の冬ですと授業しているし、NHK趣味の園芸の樹木管理のページにも記事を書いていた時はそう書いていました。でも植栽を仕事で行っていると全て冬にというわけにも行きません。例えば、商業施設で9/1日オープンというお店の植栽などは植栽工事が行えるようになるのはほぼ最後ですし、緑が入ると空間はぐっと雰囲気良くなるので、8月の植込みという事にならざるを得ません。

そんな中でもギリギリの判断はしています。基本的に、移植後水をあげられるかがポイントになるのですが、今回、植えたアオダモは落葉樹の中では夏でも頑張ってくれる方の子で、ジューンベリーも水あげていれば大丈夫の事が多い。

今回大き目のリキュウバイも計画していますが、リキュウバイは芽もやわらかいので、今週の気温が上がるもうひとやま過ぎてからにしようかなど、少しのタイミングにも気を使います。もちろん、品種だけでなく個体としてどれだけ今の場所に植わっていたか、根がどんな感じか、植え場所はどうか?なども判断材料になります。

少し秋の気配も出てきています。もう一度暑くなって、もう一雨降れば一番避けたい時季は通り過ぎるのかもしれません。

なんて事も考えながら今日は暑い日に大きな樹木を植えこんできました。

またクランベマリティマが入荷

海キャベツ

2年ほど前のブログでも入荷して喜びの記事を書いたクランベマリティマが再び1c/s入荷致しました。宿根しそうも無いけど、ちゃんとするところが偉い。そして白い花がびっちりつくところと、花の咲いた後も可愛い。

3月➡4月➡5月の可愛さ

これは、園芸店で苗で売っていたら、野菜苗にしか見えなくて売れないだろうな・・・。かといって、花の時期に鉢物にしても難しそう。ガーデン用の苗ってどう育つか知らないと買えない難しさがありますよね。

Rose Chinensis var. Vilridiflora

“グリーンローズ”

植物の主たる目的は種の繁栄。

でも、この子は花を咲かせて種をつくる事よりも自らの成長に全ての力を注ぎこむべく?花でまで光合成をしようとしている。

極めて貪欲。

結果、個性ある姿が人気で、自ら種をつくらずとも、人々が栄養繁殖させて種の繁栄ならぬ個の繁栄を実現させている。

革命児のようなバラ。

葉のような花は控えめで派手好きの人からは認めてもらえないけど、冬に赤く色づく姿は、虚を突かれる。

生き方まで含めると一番美しいバラなのかもしれない。雌しべ、雄しべを退化させたアバンギャルドなバラである。

ようは、お勧めのバラです!

植物の方が優れていると思う

地球もきれいな球体ではないらしいです(バオバブの実)

植物の方がずっと長く地球上に存在していて、

植物の方がうまく地球と付き合っている。

黄金比の説明にも良く出てくるシダの芽出し

ある意味、レオナルドダビンチより数学、物理、アートと多岐に渡り優れていて、最も効果的な葉の展開方法まで、計算しつくしている。

彼ら(彼女)はこれほど優れているのに、急激な進化や、変化、他の動物などへの攻撃を最小限にとどめているのはなぜだろう。

美しすぎる斑入りバナナ

きっと、急激な進化や変化、攻撃がもたらすものまでわかっているからかもしれない。

自然崇拝を語りたいわけでもないけど、機能などの価値とともに、美しさの価値をデザイナーとして考えた時も植物にはなかなか敵わないなって。

もし自分がプロダクトデザインをしていたとしたら、植物に寄せていくデザインばかりになりそうな気がする。

そんな中、自分の行っている植物を使った空間デザインって考えようによっては凄く特殊で、植物に寄せるもなにも、“植物”を扱える。逆に言うと、扱わなくてはいけないというこわささえ覚える。

まるで、尊敬する師匠に指示しなければいけないようなこわさ。

うわべだけじゃ無くてちゃんと植物の声を聞けるようなデザイナーになりたい。

Polygonatum sp. (トキワナルコユリ)

厚手で艶のある葉が特徴

昔は日陰の植栽を考える際、品種を多く植える事が喜びでした。バラエティに富んだ植栽は、コレクション的で植物を覚えたり、お気に入りを見つけられる楽しみもあるからです。

でも、最近は品種はある程度絞って植える事が多いです。一番は管理の面ですが、他にも落ち着く雰囲気をつくりやすかったり、アトリエ朴としても、時代の傾向としても、ナチュラルモダンに行きついて来ている感はあります。

選び方は、手間がかかりにくく、美しい組合せのしやすい植物。→引き算の記事←じゃないけど、品種を絞るという事は、実際に植える3~4品種を選択する作業はかなり重要だし、大変な作業です。そんな中、家の側面に作った日陰のアプローチ等で植える場合の候補としてお勧めの植物のひとつがこの“トキワナルコユリ”です。

フッキソウ、ヤブコウジ、リョウメンシダ、ヤブラン、クリスマスローズ、ホスタ(品種が重要)、アジュガ、、、、

色々ある日陰の優秀な子の中からベースとして植える植物をひとつ決めて、全体の約6割、組合せの美しい植物をひとつ決めて、アソートとして約3割、アクセントとしてシダ等、形の大きく異なる美しい物を1割等、決めていきます。5:3:1:1で最後に線の植物を入れる事も多いです。そんな3~4種類だと比較的管理が楽で美しくなりやすい。

でも、緑中心の植栽の場合は、低木があって、下草に種類があって・・・と作っても、色が散らかりにくいから50種植えちゃいけないってわけではないですよ。 

最初に上記ぐらいで計画しておくと、少し変化をつけて植え足していってもごちゃごちゃにはなりにくいから、上手くいきやすいひとつのロジックとしてのご紹介です。

株基フェチとしては放っておけない

“トキワ”と名が付くからにはもちろん、常緑多年草。葉だけだと気づかなくても、この格好良い根元を見れば、ちゃんとアマドコロの仲間だって気づきます。中国原産の植物のようです。昔はすごく高かったイメージありますが、昔よりは安くなってきました。結構な日陰でもしっかり耐えるからそんな環境ならぜひ取り入れてみてください。

Acer palmatum ❛shigitatusawa❜

視線上で石に乗せたモミジ❛鴫立沢❜

葉の一部に入る、白、黄色、紅色等の模様を❛斑❜と呼び、中斑、外斑、縞斑、曙斑等、模様の入り方によって様々な斑の呼び名がありますが、このモミジの模様は斑と呼んでいいのでしょうか?

葉脈にクロロフィルが集合しているような緑のコントラストで、正に美しい江戸切子を見ているかのようです。

この子、本日嫁入りしました

ヤマモミジの系統で、ムクロジ科カエデ属。もしかしたら、このモミジをきっかけに、葉の魅力にとりつかれる方も多いかもしれません。

イワガラミ入荷しました

アジサイたちの葉の間から蕾が見てとれるようになってきました。期待感の固まりですね。アジサイの中で、蔓になるアジサイがある事をご存知ですか?特別な品種ではなく、わりと日本全国に見られる自生種です。でも、普通のアジサイの流通量が圧倒的なだけに、「蔓アジサイ」というだけでレア感もありますね。そして同じユキノシタ科で、よく似た性質、よく似た植物にイワガラミがあります。イワガラミ属と属も違うのですが、装飾花のガク?の数が蔓アジサイは3~4枚なので、1枚だけのイワガラミは蔓というナチュラルな形態で、さらに花もより純朴です。日陰にも丈夫で、病害虫もほとんど無く、海外では北側の壁面装飾に用いられます。ポテンシャルも20M!

ちなみに「入荷しました!」と元気よくタイトルで言ってもアトリエ朴さんはお店ありません。(;^_^A

改めて常緑樹と落葉樹

ぱっと見、元気が無さそうに見える「ソヨゴ」

樹木選びとかって、洋服と違ってそうそうする事ではないですよね?(私たちは仕事でいつも木を選んでいます。)もしかしたら家を買った時、一生に一度かもしれません。でも、毎年買い換える物でもないですよね?ずっと付き合う事がほとんどかもしれません。慣れていないけど後悔したくないのが樹木選び。そんな樹木選びの話です。

まずいつも樹木と携わっている私達の考え方と一般的な樹木に対する印象で、大きく異なる事が、落葉樹の価値です。落葉樹は「葉が落ちる」というマイナス面は良く知られていますが、メリットはあまり知られていません。逆に常緑樹のメリットはわかりやすいので良く知られています。そのため自分で植えるときっと常緑の比率が高くなるのではないでしょう。

樹木の魅力って、さわやかな緑、葉ですよね。でも、落ち着いて樹木を眺めていると、同じくらい「幹」が美しい事に気が付きます。想像してみてください。幹のラインがしっかり見える樹木と、葉にかこまれたもこもこした木。幹のラインが見えるのも一つの魅力と感じませんか?盆栽を眺めた時、茂った葉に覆われた盆栽よりも、適度に幹が見えて枝ぶりも楽しみたくないですか?常緑でも枝ぶり出す事ももちろんできますが、幹が美しく見えるのは圧倒的に「落葉樹」が多いです。そして、葉のつくりとしても、常緑は寒さに耐えられる厚ぼったい葉、落葉は7か月くらい持てば良いので、薄い作り。すなわり爽やかな葉。樹木に美しさを求めた時、落葉樹はとても有利です。夏日射しを遮って、冬は取り込めるのもメリットです。

常緑は環境調整や目隠し等、とても機能的です。昔から北側に常緑樹を植えて防風林にしたり、生垣などで目隠しにするのも基本的には常緑樹です。冬に要所にあると寂しくなり過ぎないのもメリットですね。

あと、意外と知られていないのが、常緑も葉を落とします。写真のソヨゴ、元気ないように見えますが、今新陳代謝で、古い葉を落とし、新しい葉を作っています。これから古い葉落ちます。良ーくみると新芽が出ていますよ。なので、弱っているというよりも、新陳代謝です。

色々ひっくるめて、ざっくり言うと落葉7:常緑3ぐらいがプロの提案としては多いのではないでしょうか。あとは、どこに配置して、どんな木を選ぶかですな。

ソヨゴの新芽

オシダ

造形的にも美しい!オシダの芽吹き

私が初めてお金を出して買った植物はボストンファン、玉シダでした。花を見ていいな!って思う前にシダを見て格好良い!!って思いました。シダマニアとかにはなりませんでしたが、今でもシダをかっこいい~!って思います。特にこの、オシダとか、クサソテツとか呼ばれるこの子は好きで、この子がいるだけで、ナチュラルな「癒し」の場所という気がします。八王子のナチュラルガーデンでも植えましたが、事務所の前でも自生して生えています。フィボナッチ数列とか、黄金比とか論理的に秩序の美しさを語れる部分もあるかもしれないし、DNAが安心できるような情報を感じ取れるのかもしれない、クサソテツの芽吹きは心から美しいと感じます。

シダそのものの形が独特なので、様々な植物と組み合わせて美しさが作れます。ただ、寄せ植え的な植栽よりは、ウッドランドの下にどばって増やすみたいな「群生美」がこの子の真骨頂かと思うので、できれば種類少なく広い使い方がお勧めです。

昨年の5月ごろかな?道の駅ナチュラルガーデン

 

この子を植えるときの狙いはずばり「野趣」ですな